施工管理から一度も辞めずに8年続けるためにやめた考え方のルール

「この仕事、続けられるんだろうか」

現場に出るようになってから、そう思ったことが一度もない人は、少ないんじゃないかと思います。

わたし自身、施工管理として働き始めてから8年になりますが、正直、辞めたいと思ったことは何度もあります。周りを見ても、同じように悩みながら働いている人がほとんどです。

実際、データを見ても、それは特別なことではないと分かります。国土交通省の資料によると、建設業に就職した人が3年働いた時点での離職率は、高校卒業者で47.7%、大学卒業者で30.5%というものです。3年以内に、3〜4割の人が辞めていく。それだけ、この仕事は簡単には続けられない環境だということだと思います。

長時間労働、人間関係の板挟み、責任の重さ、そして給与への不満。理由は人それぞれですが、辞めたいと感じる要素は、いたるところに転がっています。

だから、もし今「辞めたい」と思っているとしても、それはあなたが弱いからではありません。この仕事を選んだ人の多くが、同じ壁にぶつかっているということです。

「辞めたい」という気持ちは、誰かに話すだけでも、少し楽になることがあります。同じように悩んでいる人の声を見つけて、「自分だけじゃないんだ」とほっとした経験がある方も、多いのではないかと思います。

わたし自身も、そうやって気持ちを吐き出すことで、何度も救われてきました。

ただ、正直に言うと、吐き出すだけでは、状況そのものは何も変わりませんでした。「辞めたい」と思う気持ちに共感してもらえても、翌日、また同じ現場に戻れば、同じ壁が待っています。相談しにくい環境も、給与の低さも、誰かに話したからといって、なくなるわけではないんです。

わたしが8年間、この仕事を辞めずに続けてこられたのは、気持ちを吐き出すことができたからではなく、その先で、いくつかの考え方を、自分の中で変えてきたからだと思っています。

環境に期待するのをやめたこと。分からないまま止まるのをやめたこと。給与への不満を、他人のせいにするのをやめたこと。

ここから先は、その具体的な中身についてお話ししていきます。

現場に出たばかりの頃は、分からないことがあれば、誰かに聞けばいいと思っていました。実際、最初のうちはそれで何とかなっていたと思います。

でも、忙しい現場では、聞きたいときに聞ける人がいつもいるとは限りません。周りも自分の仕事で手一杯で、声をかけるタイミングを探しているうちに、時間だけが過ぎていく。そういう場面が、何度もありました。相談したくても、相談できない。そのもどかしさを、ずっと抱えていた時期があります。

正直、しばらくは「なんで誰も教えてくれないんだろう」と、環境のせいにしていました。でも、ある時から、その考え方そのものをやめることにしたんです。

誰かに相談できる環境を、期待するのをやめる。そう決めたとき、正直、少し寂しい気持ちもありました。でも同時に、「相談できないなら、自分で判断できるようになるしかない」という、ある種の覚悟のようなものも生まれました。

環境が変わるのを待つより、自分が変わるほうが早い。そう思えるようになってから、少しずつですが、仕事の進め方そのものが変わっていきました。

次の章では、実際に「相談できない中で、どうやって判断していたのか」という、具体的な考え方についてお話しします。

相談することを諦めると決めても、分からないことがなくなるわけではありません。むしろ、分からないことは、いつも目の前にありました。

そこで意識するようになったのが、「分からないまま止まらない」ということです。以前は、分からないことがあると、そこで手が止まっていました。誰かに聞けるまで、答えが分かるまで、動けずにいたんです。でも、それでは仕事は進みません。

だから、まず自分なりの答えを出してから動く、というやり方に変えました。正解かどうかは分からなくても、「たぶんこうだろう」という仮の答えを、自分の中で一度作る。そのうえで、それを持って現場に出る。そうすると、不思議なもので、動きながら考えられるようになっていきました。

もちろん、自分なりの答えが間違っていることもあります。それで失敗したことも、正直あります。でも、何も考えずに立ち止まっているよりは、間違っていてもいいから自分の頭で考えて動くほうが、結果的に早く、確実に成長できると感じるようになりました。

分からないことを、分からないままにしない。誰かの答えを待つのではなく、自分の答えを先に用意しておく。この積み重ねが、相談しにくい環境の中でも、少しずつ自分の判断に自信を持てるようになった理由だと思います。

続いては、もう一つの壁だった、給与についての考え方の変化についてお話しします。

正直に言うと、給与に不満を感じていた時期がありました。周りの同世代が、もっと楽な仕事で自分より稼いでいるのを見て、「なんでこの仕事はこんなに大変なのに、給料はこの程度なんだろう」と思ったこともあります。

しばらくは、会社のせいだと思っていました。業界のせいだとも思っていました。でも、いくら会社や業界のせいにしても、給料が上がるわけではありません。当たり前のことですが、当時のわたしは、そこになかなか気づけませんでした。

だから、他人のせいにするのをやめて、自分にできることをやることにしました。具体的には、資格を取ることです。資格を取れば、それだけ会社の中での評価も変わりますし、給与にも反映されやすくなります。

もちろん、資格を取ったからといって、すぐに給料が大きく変わるわけではありません。でも、「環境に不満を言うだけの自分」から、「環境を変えるために動いている自分」に変われたことは、給料そのもの以上に、大きな意味があったと思っています。

不満を抱えたまま働き続けるのと、不満を行動に変えて働き続けるのとでは、同じ8年でも、まったく違う8年になっていたはずです。

最後に、ここまでお話ししてきた考え方の変化をまとめて、「続けるかどうか」を判断するときの、わたしなりの軸についてお話しします。

ここまで、相談できない環境のことも、給与のことも、お話ししてきました。振り返ってみると、どちらにも共通していたのは、「向いてる/向いてないで考えるのをやめた」ということだったと思います。

きつい場面にぶつかるたびに、「自分はこの仕事に向いていないんじゃないか」と考えたことは、正直何度もあります。相談できずに困っていたときも、給与に不満を感じていたときも、その裏には「向いてないから、こんなに苦労しているんじゃないか」という思いがありました。

でも、あるときから、その問いそのものを立てるのをやめました。向いているかどうかを考えても、答えは出ません。それよりも、「今の状況で、自分に何ができるか」を考えるほうが、よほど現実的だと気づいたからです。

相談できないなら、自分で判断する力をつける。給与に不満があるなら、資格を取って動く。これは、向き不向きの話ではなく、「今できることをやったかどうか」の話です。

8年間、施工管理を続けてこられたのは、才能があったからでも、この仕事に特別向いていたからでもないと思っています。ただ、壁にぶつかるたびに、環境や向き不向きのせいにするのをやめて、自分にできることに目を向け続けてきた。それだけです。

もし今、同じように「向いていないのかもしれない」と感じている方がいたら、一度、その問い自体を脇に置いてみてほしいと思います。向いているかどうかより、今、自分に何ができるか。そこから考えてみると、見える景色が少し変わるかもしれません。

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